(注:本編と映画『激突!』の続編は全く関係がありません)
11月1日、午前6時頃。
長堀通り某所にて、俺はカージャックを敢行。
嘘。
タクシーを捕まえただけだ。
回送中の一台目に拒否られ、二台目での確保だった。
割と緊急事態だった。
―――というハメになった経緯とその後を解説せねばあるまい。
まいど、モンシです。
予定通り前回(http://din.seraphia.net/blog/diary.cgi?no=21)の続きをお送り致します。
あれから一週間とか、周囲の皆さんにチクチク言われるの確定。
俺\(^o^)/オワタ!!
ちゃうねん、ここ数日はあんまりネットに触れない状況ににおりましてん。お陰で微妙に己を知り、また敵を知れたような気がしますがその話は追々作品のあとがき等にて御免。
それより、先週は実にえらい目に遭いました。良くも悪くも。
……10月31日夕刻から夜通しで引き続きの交流会。
作劇塾に芸大生を交えての飲み会兼意見交換会である。
映画上映の後、宴会。
S氏の手料理に舌鼓を打ちつつ酒を酌み交わし、いつものように皆々様クリエイターらしい意見のぶつけ合い……及び単なる雑談が展開される。
弱腰の学生には熱く背中を押し、時折ウエイター手伝いなどを兼ねながら、俺も輪に入る。
俺の居た輪では、ネトラジ構成員T氏がいきなり先日のブログ(http://din.seraphia.net/blog/diary.cgi?no=20)をプリントアウトしたブツを取り出す。しかも、ご丁寧に赤入れ(部分部分に御指摘御意見等の記述)済み。
焦った。
俺は例によって瞬く間に四面楚歌である。
その場には勿論、先日さんざん「ないわー」の矛先を向けてしまったネトラジ構成員Aさんも。
いずれ近々腹割って意見交換をするであろうとは思っていたが、ここまで敏感かつ迅速に反応しようとは。仕事(御意見)もキッチリである。T氏恐るべし。
しばしハラキリ上等な激論の末、その議論はそこはかとなく終了。
まぁ……何をどう言おうと我が非力に由る点が大きかったのは否めない。修行あるのみである。
続いて、本日の参加者全体(十数人)を統一しての自己紹介タイム。
一人一人立ち上がって、名前やら趣味やらを言っていく。
ぶっちゃけ気味にトバしていく人々、普通に流す人、例によって不完全燃焼気味に滑る俺など登場しつつ、滞りなく進行していく……かと思いきや、終盤で出てきた某大学生の番にて異常発生。
某大学生「(ぼそぼそぼそ)」(名前を言ったと思われる)
某参加者「ぇ? 聞こえないんでもっかい……」
某大学生「(もそっ!)」(名前らしきことを言った)
某参加者「○○さんか」
学生の知人「ちょ、偽名……」
某参加者「え、偽名? 偽名とは何事か!!」
参加者達『何ぃ!中山師匠の御前であるぞ!!』(超意訳)
と、いうような流れで少々騒然となった。
実はこのシーンで、当の本人以上にアタフタしながら汗だくになっているヤツが居たのである。
俺だ。
そう、俺は先に回ってきた出番の折、
『ども、作家志望・猪名山門士でございますー!
通称モンシ、といえばネトラジ等でお馴染みかもしr(以下略』
としか言わず、本名を言いそびれていたことに気付いたのだ。
まずい、まずすぎる。
手抜かりにも程があるぞ猪名山門士。(注:内心でも"猪名山"呼称)
アダ名やらペンネームやらで呼ばれるのが基本になって早幾年、本名で呼ばれても振向かないレベルまで戸籍名から遠ざかってしまった俺に限ってありがちなミスだが、これはシャレになっとらん。
俺はギャグ漫画的緊張描写そのままの顔(参考:http://din.seraphia.net/img/inacyu.jpg)で周囲の皆さんに「俺ええのん?俺?」と目線と手振りで訴えるも、誰からも反応無し。つまり、お咎めなし。
実質の名前であれば許すノリなのかこの場は?
それとも純粋に俺のミスに気付いてないのか?
俺の影が薄いばっかりにスルーというお決まりのオチでは!?
一応、直後に先輩約一名に「いいんスかね?」と伺ったところ
「ええんちゃう?」と返ってきたのでええんでしょう。たぶん。
……そんな肝を冷やした話であったのだが、俺には疑問がある。
『彼は本当に偽名を言ったのか?』
俺の記憶を元に検証すると、この件の発端となった某大学生の発言は普通に名前を言っただけのような気がする。
それを偶然聞き間違えられて「偽名?」と呟かれてしまった声が、本人の声よりもハッキリ聞き取れてしまったのが運の尽きというやつではなかろうか?
思うに、彼があまりにも"はっきり言えない"、弱腰野郎極まれりといった体であったが故に悪いほうへ解釈され、周辺人物の不快感もあって非難に流れてしまいがちであったのではないかと俺は推測した。
あの現場を御存知の方はよーく思い返してみていただきたい。
もしかしたら、彼も俺もある意味で事故の被害者かもしれない。
話を戻しませう。
長い夜は続きます、まだ冒頭には帰り着けておりませんので……。
確かこの自己紹介の後くらいだった。
場の酒が尽きたので軽く買い足しに行ってきた後、タイミングを図って俺提供の"ちょっといい酒一式"を投入したのだ。
"ちょっといい酒一式"、というのは
『スクリュードライバーセット』である。
このカタカナを読んで「え、工具?」と思った人は要反省。
スクリュードライバーとは、ウォッカとオレンジジュースを混ぜたカクテルである。(参考資料:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%89%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%90%E3%83%BC)
俺はバイト先のコンビニで取り扱っているギフトの「和歌山柑橘100%生ジュースセット」を運よく入手したので、ウォッカを一瓶添えてこの飲み会に提供してやろうと前々から狙っていたのだ。
というのは他でもない、毎度毎度発泡酒かビールにパック酒や酎ハイしかないとあっては、どうにも俺のようなリキュール好き・ウィスキー好きには居心地がよくないからだ。
要は、美味い酒を嬉々として呷りながら、嬉々として意見交換したかっただけである。
……そう、本当にそれだけだったのだが。
それから暫く後。
全員で円座を組んで熱烈な意見交換。
後続へ向けて、後痛すぎるくらいためになるクリエイター的経験談を経ての心得伝授などなど、後にS氏が「鼻血吹きそうなくらい熱かった」と仰るのも納得の内容である。
どうやら複数人の同志達にいたく気に入っていただけたらしく、思ったより早くウォッカ一瓶は空っぽになってしまった。
俺は思ったより自分の(ウォッカの)分け前が少ないなぁと思いながらも、人数を考えればこんなもんか、と思いながら、若干一名現れた酔っ払いの相手をしていた。
……前述の"同志達"の一人である。
しかしこの酔っ払いがどーにもこーにもやかましい。
一人が熱烈に発言し、それを皆様聴く。
聴いた上で、呼応する。何か訊かれれば、真剣に応える。
そんなとっても良い空気のところでこの酔っ払い、ノンストップで喋る喋る、よ~喋る。酔っ払いだけあって、周囲の様子など見えてはおらぬ様子。音量も当然でかい。おかしなことを口走っていないだけ不幸中の幸いだが、「静かに」と言ってみても聞いてくれるはずもない。
誰かが相手していないと矛先がどこに向くかわからんし、どうマズい方にシフトするかわからん。下手に刺激もできん。
「全然酔ってない」、「酒もうない?」等々の発言からしても、状況と対処法を知っているヤツ(俺)が、この貴重な場の空気を守るため皆の盾となるより他ないだろう。
俺は頑張った。
円座の中に居ながらにして、隣の酔っ払いと二人向かい合って飲んでいる構図だった。
酔っ払いの正面を見て相槌を打ち、ときにどうでもいい話を音量控え目に振りながら、耳は70~80%くらい円座熱論の発言者に向ける。
『さあ皆の衆、互いの熱を交換しあってくれ!
これで直接ちょっかいを受けることはあるまい。目の前の酔っ払いの声くらい、
熱弁に集中していれば聞き流せるだろう。
できればでいいから陰で辛酸を舐めている俺の熱も受け取ってくれ!』
俺の心の叫びは通じたのだろうか。通じたと信じたい。
議場の混乱を防止するため、俺なりにやれることをしたつもりだ。
――せっかくなので、その一例を見てみよう。
酔「(酒が)もうどれも残ってない……!」
俺「ええ、残念ながらもう残ってないみたいですよ」
酔「(冷蔵庫に)もう無い?」
俺「冷蔵庫のもさっき出したやつで売り切れです……。
あのー……、いいスか? ちょーっと相談なんスけどね
もし、あと一杯、俺がなんとかして出したら、
なんとか静かに、黙っておいて、いただけますか?」
酔「えぇー?」
俺「まぁまぁ、ちょいとコイツを見てみて考えてくださいよ」
(俺、自分の鞄の中から酔っ払い氏にだけ見えるように酒瓶を出す)
酔「あぁ、それ知ってる!美味いよなそれ!」
俺「実はウォッカ買ったときに安かったんで買ってたんです。
自分用に持って帰る気で居たモンなんですが、まぁー、でも、
もし、これ入れてくる間と、そこからいいって言うまで黙って
おいていただけると約束してもらえるんなら出しましょう。
黙っててもらえないみたいなら出しません。どうします?」
酔「んー……わかった、じゃあもらおう」
俺「はい、では俺が酒注いで帰ってくるまで、一言も喋らないで
いてくださいよ?」
酔「(自らの手で口を押さえてOKのサイン)」
(俺、一呼吸置いてから戻ってきて)
俺「氷入れます?」
酔「(身振りで不要のサイン)」
俺「少々お待ちを」
――ってな感じの会話とアクションがあったわけです。
この直後、俺が廊下で熱論に聞き耳を立てていたところ、"マル酔"が発言こそしないものの『ムーーー!ムゥーーー!!』と口を押さえたまま騒ぎ出し作戦失敗。
俺が苦笑を浮かべながら押さえに行くハメに。
失敗しましたが、
この一例でやろうとしたことはこう!
①自分の声質が通らないことを利用・周囲への影響を減らす
②自分の長い台詞で時間を稼ぐ
③身銭切った酒で興味を引く
④取引を持ちかけ・考えさせることで時間を稼ぐ
⑤待たせる間黙らせるとした上・氷を入れるかどうか訊きに戻る
⑥待たせる間黙らせるとした上・できるだけ遅く戻る
⑦ゆっくり飲むよう勧める
⑧約束が守られない場合・咎めるなり説明を求めるなりに繋げる
⑨状況次第でもう一度似たような取引を利用する
必死に熱論に耳を傾けつつ、会話の相手をしつつ、俺自身もそれなりに酔いつつ、という状況下でよくこれだけの算段がつくようになったものである。
ああ!きっと、これがネトラヂ効果なんだね!
おかしい、俺は酔っ払いとの対決のために修行しているわけでは……。
そして、この"一例"は押さえに行った後がまた一癖あった。
ろくに待たせもできずに⑦へ移行しようと、自腹度100%の酒をストレートでコップ1杯持ってきた俺。
嬉しそうな"マル酔"に
俺「ゆっくり飲…」
まで言ったところで一気飲みされ
俺「え゛」
酔「おかわり」
とコップを突き出されてしまう。
俺「…………」
酔「…………」(笑顔)
しばしの沈黙は、求めていたはずなのに全く嬉しくなかった。
俺は泣いた。
心で泣いた。
若干の問答の末、もう1杯出した。
ああ、そうか、無意味なのか。
と、2杯目で悟った。
そこから一時間だったか二時間だったかは定かではない。
気が付けば円座は崩れ、また適当にバラけて酒を飲んでいた。
"マル酔"は皆と普通に会話していた、ように見えんこともないが半分おもちゃだった。
いつの間にやら場にはウィスキーが。
俺は気を利かせ、グラスに氷を放り込んで持って行った。
案の定、というか俺が気付いたときには"マル酔"がウィスキーをうまそうに飲んでいた。
40%はアルコールであろう琥珀色の液体を、ロックで。
少なくとも2杯は呷るところを見た気がする。
しばらくあってから、ぐでんと寝転がる"マル酔"。
墜ちたか。
やっとか。
そのまま寝られても厄介なので、邪魔にならん場所へ移動させようかと思った俺は、場所を見繕って座布団を数個敷いた。
寝てしまえば安心だ。
大学の体育会系部活動が如何に凄惨な宴会を行うか、俺は身をもって知っている。その経験からして、この場は"マル酔"が邪魔にならない場所で寝てしまうのが良いに違いあるまい。中山師匠には申し訳ないが、御宅の片隅にて"マル酔"を休ませていただけないか頼んでみるか……。
既に周囲の人々に介抱されている"マル酔"に俺が近付いた、その時であった。
"マル酔" は マーライオン に しんかした!
(参考:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%82%AA%E3%83%B3)
不覚!!
俺は戦慄し、雑巾とゴミ袋と他諸々を取りに走る。
何故予測できなかった……!
まさに失態だ。以前の俺なら、こうなる可能性を踏まえて構えられていたはずなのに。何を呆けていたのか。
周囲から見ればどうということはなかったかもしれないが、俺一個人にとっては医療ミスをしてしまった医者の心境である。この場合は、容態の急変を視野に入れていて当然のはずだったのだ。
S氏らの献身的な介抱と同時に、その場で対策が検討される。
結論はすぐまとまった。
目的、ルームメイトも居る自宅へ強制送還。
方法、タクシー及び人力による搬送。
実行、猪名山門士他。
当時現場に居た人間のうち、マーライオン宅の具体的な場所を知っていたのは俺だけだったのだ。
それも一回だけ家の前まで行ったことがある程度だが。
俺は中山師匠宅を飛び出した。
既に空は明るい。
長堀通りへ向かって走りながら、携帯電話で現場人員に「大きいゴミ袋を」だの「マーライオンの荷物まとめろ」だの指示を出す。
言っている間に長堀通りに到着。
―――ここでやっと本記事の冒頭へ繋がる。
俺は通りを通るタクシーにひたすら手を振った。
信号待ちがこんなに長いと思ったのも久々だ。
最初に止まってくれたタクシーは回送中、「方向さえ合えば」と言ってくれたのだが、生憎行き先は反対方向。断念。
二台目のタクシーはOK。
師匠宅前へ誘導、待っていてもらう。
S氏が担ぎ上げ、数人でサポートする形でマーライオンをタクシーへ運び込んだ。
タクシーが出発しようとした折、マーライオンを担いできたS氏が靴をはいていない状態で添乗しようとしていることを知った俺は、かなり熱血ゴリ押しな勢いでS氏には師匠宅に留まっていただいた。
その折の台詞、
「 俺 を 信 じ て !!! 」
我ながら馬鹿すぎて泣ける発言である。
改めて思い出すのも恥ずかしい。吊りたい。鼻水垂れた。
しかし、靴下一枚であの大阪の地下鉄に乗り、あの大阪の船場付近を歩くなんてとんでもない。ガラス片踏むくらいの騒ぎで済めばまだ良いほうだ。
被害の拡大を防ぐには、登山同様に"留まる勇気"が必要不可欠。結果的に俺が見せ場的においしい場面をいただいてしまうが、ダメージを最小限にするという意味では全部俺が引っかぶるのが手っ取り早い。憎まれ役上等。
かくしてカージャックは始まった。
後部座席でマーライオンの介抱を続行しようとした俺だったが、まず焦るのはビニール袋が無い。雑巾的なモンもない。便所紙はどうした?
大きい袋を何のために用意せえ言うたと思っとんねん、と内心で一人キレ気味に自分の鞄から書類運搬用のビニール袋と極力キレイなタオルを見繕って介抱用に使う。
ちょぉぉぉぅ動かんとってください!シート汚したら厄介ですて!
と内心で絶叫しながら、必死に介抱。
内心でヒーヒー言いつつも、言葉遣いは抜かりなく敬語で問答。いろいろ濃厚なお言葉を仰るのを慰めたり、このさいとばかりに本心からの言葉を列挙していろいろ誤解してらっしゃるところを解しにかかってみたり。
まぁ、泥酔してらっしゃる時点で無意味は無意味なんですが、本心とわかる語りかけに本心を返さないわけには参りますまい。可能な限り誠心誠意お応えしたつもりですが、果たして後々どうなるやら。
そんなこんなしている間にも携帯に電話が。
ポケットの中で鳴動する携帯君ですが、ボクの両手はつゆだくなので対応不能です。
かけ直すから待っててくれい!という心の声が聞こえるはずもない。
タクシーの運ちゃんに
「えらい難儀な客でホントに申し訳ないッス」などと謝りつつ、若干ルートを指定して走ってもらう。
文句や注意の一つも言わないなんて、地獄に仏だぜ運ちゃん。
っていうか、おおよそこの辺だけど、目的地どこだ!?
向かう道筋を以前通りにしていない・移動している道筋を介抱に必死で見れていない、という2要素によって、実は俺の脳味噌ナビは既にエラーを吐いていたのだ。
(ちなみに、この折の電話は師匠宅からの現況確認だった模様)
こりゃいかん。
さすがの俺も手を拭き、余計な意地張らずにマーライオンのルームメイト殿に電話を繋いでナビゲートを要求する。
程なくしてマーライオン宅前に到着。
完全に脱力しきったマーライオンを背負おうとする。
が、担げん。
ぬう、脱力した人間とはかくも担ぎにくいものか。
仕方がないので腕引っ張って無理矢理背負う。
が、バランス崩して地に手をつく。
重っ……、俺本体と似たような重量と思っていたが、見誤りか?
いや、俺の筋肉量が俗に言う"モヤシクオリティ"なだけだ!
「ぬぅ、漢(おとこ)猪名山、ここで立てずして猪名山足り得ようかッ!」
ぶつぶつとそれっぽい台詞を呟いて、歯を食いしばって立つ。
ルームメイト殿の助力もあって、うまいことバランスを取った。
人一人の命とは、かくも重いものであったか!!
なんたる我が非力か!
人一人も支えられずして、この万世に一石投じ得ようか!?
……などと、勝手に己の非力さ矮小さを痛感して悔いながら、ルームメイト殿の案内で階段を上り、エレベーターを上り、若干歩いてマーライオン宅へ。
指定の場所にマーライオンを安置し、ルームメイト殿に『生物学噛んだヤツ式☆アルコールが行き過ぎたときの対処法』を手の届く範囲で具体的にどうすんねん的に簡単に伝える。
それに沿って「脱水症状対策」、「塩分不足対策」、「カロリー不足対策」、「嘔吐対策(気道確保)」等諸々思いつく限りキチっと押さえておいた。
塩分補給用と称して、俺が鞄にストックしていたメンチカツパン他を添えた。ここまでやって万一物理的な問題が発生したら、そればっかりは僕のせいぢゃない、と主張したい気分だ。
文字通りだくだくになりながらミッションを達成した俺は、師匠宅に任務完了の一報を入れ、師匠宅へ戻る途中には、ルームメイト殿にレクチャーした内容をマーライオン御本人宛にメールで送っておいた。
中山師匠宅に戻った後、皆々様の興味の下に晒された俺は、情緒不安定のあまり少々難色を示してしまう。
そこからまたそこはかとなく論争となり、元より出し切ったも同然の体力精神力を絞りきるハメになった。
しかし、そのおかげで、また大きなことを学んだ。
俺が当然のことと思っていた『敢えて訊かない』、『嫌がっていることを掘り下げない』という選択肢は、一般大衆に広く共通な考え方とて定着しているものではなく、人間やはり興味が前面に出てくるのが広く共通、基本であるということだ。
気遣いを前面に出すのは日本人の基本ではなかったのだ。
気遣いはサブであり、メインではなかったのだ。
俺はそういうのは欧米的な思考で、家の中に土足で踏み込むようなものだと思っていた。どうやら俺が靴を脱いでいたココは、和室ではなく洋室であったらしい。
俺は和室が好きなんだが……、どうやら、創作人の世界は洋室と思っていたほうが今はいいようだ。そのように受け取り方を改めよう。俺の渡し方がどうなるかは知らないが。
長い夜が終わった。
中山師匠宅から引き上げる時、時計は8時半を回っていた。
完全に昼間である。
マーライオンの痕跡は、俺が居ないうちに片付けられていた。
進んで片付けてくれたというT氏、S氏他の皆々様に感謝しながら俺は家路についた。
妙に腰と背筋に来た。肩が痛い。鞄が重く感じる。
また己のモヤシボディが悔しくなった。
嗚呼、身体を鍛えよう。
我が道のために、必要最低限な肉体はもう少しタフだ。
……そんなことを、心の底から思った霜月の初まりであった。
無念。
P.S.今度はコレ打つのに11時間は吹き飛びました /(^o^)\ナンテコッタイ!!